核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

福地桜痴『同行二人 外国巡礼』(『東京日日新聞』1889(明治22)・1・3~3・15(中絶))

 全集・単行本類未収録の、読めるのは東京日日新聞だけな小説。
 読む前は期待しました。あの岩倉使節団も含めて四度の洋行を体験した福地の『外国巡礼』。
 さぞかし西洋と日本のカルチャーギャップや、さらには西洋文明批判にあふれたものと想像していたのですが。
 仮名垣魯文の『西洋道中膝栗毛』をさらに焼き直したような陳腐な小説で、みそ缶詰が爆発するなどのギャグも不発、文明批評も(ひそかに期待していた)イスラム観もありませんでした。
 憲法発布の時期とかぶったこともあり、福地も小説に専念できなかったのかも知れません。おすすめできない作品です。