核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

小谷野敦『『こころ』は本当に名作か 正直者の名作案内』(新潮新書 二〇〇九) その1

 暗いニュースが多い日々、明るい気分になれる本が見つかりました。

 たとえ漱石ドストエフスキーでも、ダメならダメと判断を下す、明快な本です。

 ご意見は私と合うところもあればそうでないところもありですが、主張は明白です。

 まず、合うほうのご意見から。ホメロスギリシャ悲劇の持つ力の評価。

 セルバンテスドン・キホーテ』、スウィフト『ガリヴァー旅行記』への高い評価。

 (私は子供向け名作全集から入り、後に日本語全訳を読み直しました)

 「シナの白話小説の中では、『水滸伝』を最も高く評価する」との言。

 「やはり白話小説の『封神演義』は、商周革命を、道教の怪物らの妖術合戦として描いたもので、安能務(あのうつとむ)による自由訳が講談社文庫にある。これもめっぽう面白い」。同感です。

 そして表題の『こころ』への批判。痛快でした。

 大量の古典を扱っているため、合わないほうの意見もあるのですが、またいずれ。