核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

筒井康隆・絵 手塚治虫『イリヤ・ムウロメツ』(講談社文庫 一九八九)

 この一九八九年という年は、星新一筒井康隆ジョイントフェアが講談社文庫で開催されてまして。その帯のついた文庫本で買った記憶があります。大判の単行本はもっと前に出ていたそうですが、近場の本屋には文庫本しか置いてなかったので。

 ロシアの古伝説の英雄イリヤ・ムウロメツの活躍を、筒井康隆の躍動感ある文章と手塚治虫の想像力あふれる絵(最後のさし絵は感涙ものです)で描いた武勇伝。

 三十歳までひきこもってたり、人妻と不倫したり、主君ともめて飲んだくれたりと、あんまり物語類型的でない、型破りな英雄イリヤ。最後まで予想のつかない展開です。

 筒井の創作ファンタジー『旅のラゴス』は最近再評価されているようですが、『イリヤ・ムウロメツ』も見直されないものでしょうか。