核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

ROYALネタだけどLOYALではなく

 筒井康隆氏に「ヒノマル酒場」という作品があります。

 一九七六(昭和五一)年七月『別冊問題小説』初出と、小谷野敦氏のブログ中の、『筒井康隆作品書誌』にありました。御恩に感謝します。もちろん私は初出は未読ですが、文庫版をなくしてしまったこともあり。いずれ国会図書館で初出を読んでみたい作品です。理由は以下。

 荒っぽい常連客が集まる大阪のヒノマル酒場に、緑色の宇宙人が訪れるのですが、テレビのやらせだと思われ、「SFは、ええかげんにせえ」と信じてもらえず・・・・・・という異文化交流のギャップを描いた作品なのですが。

 結末近くになると宇宙人どころの騒ぎではなくなり、ターザンやタイムマシンや天皇までがヒノマル酒場に出現します。そして閉店時間となり、店員は酒場にいた「全員」を追い出し、ついにヒノマル酒場は閉店します。

 どう考えても、これはアメリカSFに直接影響された作品ではなさそうです。ブラッドベリのように、地球(アメリカ)の地方風俗とSFを織り交ぜた作風の作家も確かにいますが。

 「どうして祖父を、ヒノマル酒場から追い出したのですか」

 と聞かれたら、筒井氏はどう答えたでしょうか。