調べたらこれも一九八九年でした。徳間文庫版で読んだのでその年のはずです。
実生活はともかく、読書体験という意味では、一九八九(昭和六四=平成元)年は私にとって当たり年だったようです。
題名通り、ラゴスという男が北方大陸から南方大陸へと長い旅をして、さまざまな経験を積む話なのですが、当時の私をもっとも感動させたのは、ラゴスが旅をしていないパート、南方大陸の奥地にある巨大図書館で、ひたすら読書にはげむ部分です。
(以下ネタバレ)
実は巨大図書館は壊れた移民宇宙船の一部で、古代(現代?)の失われた文明の知識が詰まった場所なのです。ラゴスはそこで過去の歴史・科学・芸術・哲学などの精髄を学んでいくわけですが、その読書体験、勉強っぷりが実に魅力的に書かれてまして。受験勉強のはげみになったものです。分不相応に学者なんかを目指そうと思ったのも、この本で学問の魅力を教わったからかも知れません。