核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

江藤淳「『氏神と氏子』の原型―占領軍の検閲と柳田国男」より

 柳田国男がいかに占領軍に阿諛・迎合して、自らの神道関係の文章を書き換え、その書き換えが『定本 柳田国男全集』にまで受け継がれているかを、江藤淳は緻密に分析しています。その書き換えはあまりにも大量なので、一々引用することはしません。江藤淳『落葉の掃き寄せ 一九四六年憲法 その拘束』の266~298ページを参照。
 ただ、戦後文化人に対する江藤の憤りの大きさに比較すると、柳田への批判は優しめです。小林秀雄といい柳田国男といい、戦中に活躍していた人間に対してはお手柔らかになるあたりに、江藤自身の言語空間の「閉ざされ」があるようです。