核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

小谷野敦『江藤淳と大江健三郎』 その2

 重要な指摘が見つかりました。

 

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 核抑止力のおかげで、第二次大戦後、米ソ戦争は起こらなかったので、核廃絶されて、通常兵器による戦争が多発してもいいのか、という疑問が私にはある。これへの有効な反論は聞いたことがない。

 (359ページ)

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 ……有効な反論になるかはわかりませんが、核兵器および通常兵器の廃絶をめざす立場から論じてみたいと思います。

 確かに核兵器「だけ」を廃絶するというのは非現実的であり、不安定です。そこで道は二つに分かれるわけです。核抑止力を信用し、トランプや金正恩が核のボタンを握る現状を受け入れる道と、核兵器のみならず暴力手段による統治全般を否定し、文明のあり方そのものを変えていく道と。

 後者(軍備撤廃)は私一人の妄想ではなく、村井弦斎・木下尚江といった戦前の絶対平和主義者たちが独自に構想していた道でもあります。戦後、原爆の悲惨さに対するショックから、平和主義運動が核廃絶「だけ」に力を注ぐことになったのは遺憾であると、私は思っております。