おなじみ『ギリシア喜劇全集1』(岩波書店 2008)の資料18ページから要約します。
1オボロスが最小単位。1日の最低賃金が2オボロス。民会・裁判出席の日当が3オボロス。
1ドラクメー=6オボロス。1家が2、3日生活できた。
1ムナー=100ドラクメー=600オボロス。名馬購入費用が12ムナー=3600オボロス。
1タラントン=60ムナー=6000ドラクメー=36000オボロス。
アテーナイの年間国庫収入は2000タラントン=7200万オボロス。
仮に1オボロスを1000円としますと、名馬の値段が360万円、アテーナイの歳入が720億円といったところでしょうか。
アリストパネースの時代(紀元前400年前後)のアテーナイは貨幣の普及とインフレーションの時代だったらしく、冥界の渡し守カロンに2オボロスを要求されて、「ここまで2オボロスに値上がりしたのか」と驚く場面があったりします(『蛙』)。
最低賃金より裁判員の日当が高い、というのも問題でして、ろくに働かずに裁判沙汰で私腹をこやす者たちが社会問題化していたことは、アリストパネースの『蜂』やプラトーンの『国家』なんかにも書かれている通りです。ベーシックインカムの導入を考える際に検討すべき点でしょう。
各通貨の材質や模様なんかも知りたいところです。いい資料があったらまた報告します。