以前にも何回か言及した、少年探偵団シリーズの異色作です。
はたして宇宙怪人の正体とは。賢明なる読者のみなさまにはもうおわかりとは思いますが、一応白字でネタバレを。
はいはい二十面相二十面相。この作品の時期には怪人四十面相と名乗っていますが、結局定着しませんでした。
では恒例の、「巨人と怪人の対決」を。
※
「おれは、世界じゆうのなかまと、れんらくして、宇宙怪人の大しばいをうつた。(略)
おれたちは、悪ものだ。世界じゆうの警察に、にらまれている悪ものだ。だが、戦争というものは、おれたちの何百倍、何千倍も、悪いことじやないのか! え、諸君、そうじやないか。
世界各国の政府や軍隊は、いくど戦争をやつても、こりないで、何百万という、つみのない人間を殺しても、すこしもこりないで、まだ戦争をやろうとしているじやないか。おれたちが、悪ものなら、そんなことを考えているやつは、おれたちの万倍も、悪ものじやないか。
やつらが、地球の上でいつまでも、けんかばかりしているのは、この地球のほかに、世界はないと、思つているからだ。やつらの目をさますには、宇宙の星の世界から、大軍勢が、おそろしい科学の武器をもつて、せめよせてくることを、さとらせてやればいい。そうすれば、、地球の上のけんかなどよして、宇宙のことを、考えるようになるだろう(略)
せまい地球の上のけんかなど、よして、大宇宙に目をつけたらどうだ。え、明智先生、四十面相の考えは、まちがつているかね。」
(172~173ページ)
※
大演説もむなしく、明智探偵からは、「こんな子どもだましでは、世界じゆうの人を、感心させることはできないよ」と一蹴されてしまいます。