昨日の憲法記念日にやるべき話でした。あの雲岳女史が、政治家の腐敗が軍人のクーデターを招く危険を警告した一節です。
星亨のような「権勢の奴隷」的政治家がはびこり、議会や憲法に国民が失望した明治30年代。
もし、このまま政治不信が募れば。
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「兵を以て議会に臨みクーデターを行ひ議会を解散し国家の為めに軍人流の壮快なる政治を行ふと唱へなば、妾(せふ)は恐る民心の寧ろ之を歓迎するとも議会の為め又政治の為め一掬(いつきく)の涙を濺(そそ)ぐ者無からん事を」
(近代デジタルライブラリー『日の出島 朝日の巻 上下巻』 9/168)
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…雲岳女史が恐れるんだから大概です。後の昭和ファシズムを予見したとかいうよりも、より普遍的な危機を想定しているとみるべきでしょう。弦斎を通俗よばわりしていた自称純文学者たちが、どれほど簡単に「軍人流の壮快なる政治」に転んでいったことか。