核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

村井弦斎『日の出島』「新高の巻」その2 「遊泳術」(最終回)

 当時、『早稲田文学』誌の一女性読者が『日の出島』を絶賛した記事が、2012年5月6日(http://blogs.yahoo.co.jp/fktouc18411906/archive/2012/05/06 参照)にあります。

 
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 私は弦斎居士が一番大好でございます、弦斎居士のは誠に読んでをりまして、あゝ為になると存じます時もございます位で、お転婆なんどゞ言ふ譏(そしり)があつても体育と言ふ以上は、遊泳(およぎ)や体操をやれなんと書いてございますもの、はい始終『報知新聞』は取つてをります。『日の出島』はどうもよくまあ続きますが、本当に面白うございます、あの雲岳女史の言ふ事なんと言ふものは?
 「文学局外観」 『早稲田文学』1898(明治31)年6月
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 ・・・やっとその場面までたどり着きました。
 大日本帝国の最高峰、新高山。探検隊を率いる雲岳女史は丸竹橋から落ちたものの、「浜名湖畔に生れ、幼時は男児と交はりて常に水中に遊泳」(69/144)していた経験のおかげで生還します。読者父兄のみなさん、子供に水泳を教えましょう、というお話でした。
 船酔いだったり高所恐怖症だったり、意外と弱点の多い雲岳女史。ピンチになるたびに「天の神よ」とか言いだしますが、何教なんでしょうか。

 (追記) 最後まで読みましたが、陳腐な探検隊コントが続くばかりでした。この巻は箸休めだったようです。次の「老松の巻」で一気に話が動き出すので、「新高の巻」はこれで終わりにします。