核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

村井弦斎『日の出島』「朝日の巻」 その4 ブタの丸煮

 『日の出島』にも、ブタの丸煮の話が出てきました。
 連載初期の「蓬莱の巻」の頃、雲岳女史と下宿の女学生コンビを組んでいた細烟女史が、お糸夫人の女中志願者として再登場。
 長崎で中国人から料理を習ったとか、やたら出放題の自慢を並べるので、試しに豚の丸煮をこしらえさせてみると、「出来ますとも」と自信たっぷりに台所に入ります。
 (注 これは『食道楽』ではなく、『日の出島』です)
 
 
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 仲働「丸煮と云ふから丸で煮るのだらう、砂糖と醤油で味を付けて大きな鍋の中へ豚を入れたら宜いだらうあんな奴(引用者注 雲岳女史のこと)に食はせるのだから爾(そ)んな事で沢山だ、全体仲働きと云ふものは台所の事をするものでは無い、台所の事をすると仲働きの位が下る」
 (『近代デジタルライブラリー『日の出島 朝日の巻 上下巻』 39/168)
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 出来ませんでした。「言ふ事は一から十まで皆んな嘘」だったわけですが、「あれ程に変わつた人間は何か研究の材料になつて却つて面白い」というお糸夫人の口添え(?)で、幸福先生の家に住み込むことになります。
 そこに訪れた、今やすっかり成功者の雲岳女史。ついにその過去が暴かれる。