長生きすると嫌でも体験する、人生の暗い一面についての、弦斎の一登場人物の発言。
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嘘ほど嫌なものは無い、だが嘘吐きと云ふ者も摘み食と同じ様な病だネ、嘘を吐かないでも宜い事に態々(わざわざ)嘘を吐く、嘘を吐いて居なければ面白くないと云ふ病がある、(略)
私なぞも若い自分(原文のまま。「時分」の誤りか)から折々爾(さ)う云ふ者に出逢つたが、世中には不思議なものもあるよ、自分で嘘を吐いて自分で困る癖に何一つでも本統(ほんとう)の事を言はないものがある、
(近代デジタルライブラリー『日の出島 朝日の巻 上下巻』 33~34/168)
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私なぞも若い時分から…やめよう。腹を立てるより、そういう「病」だと割り切って対策を立てるべきなのでしょう。