核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

ロールズ『正義論 改訂版』(紀伊国屋書店 2010 原著1999)その1

 どうも村井弦斎について書く気分になれないので、ちょっと逃避してみることにします。
 まず、訳者あとがきより、著者ロールズの人となりを。
 ジョン・ボードリー・ロールズ(1921~2002)。プリンストン大学での卒論は「罪と信仰の意味についての簡潔な研究―共同体(コミュニティ)の概念に基づく解釈」。卒業直後(1943年)に陸軍入隊。ニューギニア、フィリピンを転戦し、占領軍として被爆直後の広島を目撃。「上官を侮辱した兵士を罰せよとの命令を拒否した科により、下士官から一兵卒への降格処分を受ける」とあるのは注目すべきところです。大西巨人の『神聖喜劇』を連想させます。
 そして1995年。原爆投下・東京大空襲などの無差別空爆を、「道徳上の不正行為だった」と断言します。『世界』1996年2月号に日本語訳あり。
 その一方(1990年代後半とありますが、先の発言との前後関係は不明)、日本の稲盛財団から賞金5000万円の京都賞を受けかけた際、天皇と会食する予定があると知って辞退したそうです。
 (以上、訳者あとがき 776~778ページより要約しました)

 絶対平和主義者ではなく、正しい戦争もあるという立場なのですが、興味をひかれずにはいられない生き様です。