核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

村井弦斎『日の出島』「住の江の巻」その1 チョコレートを食べる雲岳女史

 ちょっとロールズで疲れたので、やわらかめの話にします。
 ついに結婚話が持ち上がり、故郷の静岡県に帰った雲岳女史。旅館で西洋通ぶって「チーは要らん。カツフヰーとミルクとシユガァーを貰い度(た)い」と注文したところ、出てきたのはチョコレートでした。当時はお湯に溶かして飲み物にするのが一般的だったようですが、それを知らない雲岳女史は・・・。

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 (お鍋どん)「態(わざ)と溶かさないチヨコレートを持つて行つて遣つたらお湯で溶かす事を知らないからそのまゝガリ(踊り字)齧(かじ)り始めて阿父(おとつ)さんにも喰べさせて何と云ふかと思ふと是れは西洋の砂糖菓子だとさ」
 (「住の江の巻」 15/177)
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 ・・・いつもながら時代を先取りしています。当時(19世紀末)は世界的に固形チョコレートへの移行期だったようです。
 この「住の江の巻」連載開始が1898(明治31)年1月。村井弦斎とも親交があった森永太一郎が森永西洋菓子製造所を設立したのは1899(明治32)年。固形チョコレートがいつごろからあったか調べてみたくなりました。

 追記 森永製菓様のサイト(http://www.morinaga.co.jp/milk_chocolate/story.html)によりますと、森永ミルクチョコレートの発売開始は1918(大正7)年10月とのことでした。一枚15銭。

 追記2 12月8日に続報を書きました。
     http://blogs.yahoo.co.jp/fktouc18411906/archive/2013/12/08