核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

村井弦斎『日の出島』「蓬莱の巻」その5 「浅草公園」「パノラマ」

 そもそも、なぜ当「核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ」が村井弦斎という作家を追い続けているか。食通や家庭小説家ではなく、絶対平和主義者としての村井弦斎を高く評価しているからです。
 確かにデビュー作「匿名投書」(1890)での弦斎は(留保つきながら)自衛戦争容認論者でしたし、日清戦争直後の『朝日桜』(1895)では(留保なしでの)侵略戦争肯定論者になっています。その彼がなぜ第一次世界大戦下の『小松嶋』(1917)や「感興録」(1920 http://blogs.yahoo.co.jp/fktouc18411906/archive/2013/01/21)その他で兵器廃絶論に転じたのか。『日の出島』を読み始めたのも、その間の消息を知るためでした。
 しかし、この「蓬莱の巻」(1897)の段階では、弦斎はまだ戦争に疑問を持ってはいなかったようです。
 明治31年の浅草公園の、日清戦争のパノラマを石橋学士夫妻が見に行く場面なのですが、お金夫人の無教養ぶりを示す挿話とはいえ、戦争についてまじめに考えている様子は、残念ながらうかがえませんでした。
 現金な話ですが、この巻の後半は少し駆け足で読もうかと思います。