近代デジタルライブラリーで、まず上巻だけ読んでみました。
本居宣長ごときの歌をモチーフにしている時点で想像はついていたのですが・・・村井弦斎の作品中、おそらくは最悪の小説になりそうです。
日清戦争(1894(明治27)~1895(明治28)期の村井弦斎が戦争推進論者であったことは、すでに博士論文でも述べたことです。
しかし同じ戦争容認でも、デビュー作の「匿名投書」にはペーソスと問題提起があったし、『日の出島』には文明論的な想像力とユーモアがあるわけですが、『朝日桜』にはそのどちらもありません。弦斎恒例の珍発明にしても、磁石の力で敵艦を追尾する魚雷という、幼稚なのが出てくるぐらいです。
もう少しだけ辛抱して、なんとか下巻も読んでみます。