木下尚江(明治後期・日露戦争期に活躍)と、村井弦斎(同じく明治後期の『食道楽』で有名。反戦論に転じたのは大正・第一次大戦期)は、時期は違えど戦争のただ中に反戦小説を書いた、勇気ある作家であり、私の重要な研究対象です。
両者の共通点について考えてみたのですが、戦争を生み出す男性中心文明への批判、といったあたりがまずあげられます。女性の力が戦争を止める鍵になるという主張。
女性の政治・社会参加が実現し、それでも戦争が止まない今日にあっては、彼らの主張も古ぼけて見えるかも知れません。
私は尚江・弦斎の主張を否定する気はありませんが、女性の力「だけ」では戦争の時代を終わらせられなかった、ということは(しぶしぶ)認めるべきだと思っています。
尚江・弦斎の価値は認めた上で、さらにその上をいく反戦論を展開しなければ、と思っています。