核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

木下尚江と村井弦斎の反戦論 その2 戦争になる前に

 木下尚江と村井弦斎の偉さは、戦時下で反戦論を展開し続けたことにある、とは思います。

 しかし、だからといって戦争になるまでは平和主義者は何もしなくていいのか、ということにはなりません。むしろ、戦争になる前に、戦争を阻止することが大切なのです。

 ある現代の女性作家の、外国が攻めてきたら、そういう野蛮なことはやめてくださいって言う、という発言が問題になっているようです。平和主義者の最後の覚悟としては間違っていないと思うのですが、あくまでも最後の覚悟としてです。平時に何の努力もせずにそう言ったとすれば、怠慢のそしりは免れません。

 歯が痛くなってから歯磨きをしても遅く、病気になってから予防注射をしても遅いように、戦争になってから平和主義に目覚めても、たいていの場合は遅すぎるのです。

 「そういうお前は何をしているんだ」という問いに答えますと、私は明治・大正・昭和戦前期の反戦論・反戦文学とその成果(なぜ戦争を止められなかったか、というマイナスのそれも含め)を分析し、将来起こるかも知れない戦争の火種を消すことに役立てようとしています。その前半部にあたる部分はすでに博士論文『明治の平和主義小説』として、ネット上で無料公開しています。

 現時点での研究対象は、大正(第一次世界大戦期)から昭和前期(いわゆる十五年戦争期)の反戦文学です。軍事力以外の方法による戦争の抑止力は存在するか、といったあたりを考えています。