核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

村井弦斎『日の出島』「高砂の巻」その5 太陽エネルギー

 「僕はエネルギーの事を研究して居るよ、エネルギーの事は随分面白くつて世界の万象一としてエネルギーの法則を外れる者は無いがその代り之を百事百物に就いて研究するには到底一人の力で成し得られる者で無い」
 (近代デジタルライブラリー 『日の出島』「高砂の巻」101/172)

 ずいぶん手間取りましたが、ようやく『日の出島』の本題が出てきました。
 金剛石(だいやもんど)が夜間に光るという話に始まり(現代の常識では、それは蓄光ではないのですが)、太陽の光線を吸収する物質を探して量産すれば、電気もガスも石油もいらない照明ができるはずだ・・・という一大発明構想につながっていきます。
 村井弦斎は科学者ではないので、発明の「原理」の部分には素人目にも怪しいところがありますが、ハードSFではないので大目に見ることにします。
 私が弦斎に期待しているのは、現実にはいまだ成されていない、エネルギー革命後の人間社会を描き出す想像力です。