核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

自然主義じゃないけどリアリスト

 村井弦斎の小説を実際にお読みになった方なら、あるいは納得していただけるかもしれません。
 弦斎の作品は自然主義以前の手法で描かれておりまして、個々の人物はどうも戯作的というか
、あんまり文学らしくないんですけど。
 ただ、弦斎にリアリストを感じるのは、俯瞰的な視点。具体的には、20世紀の世界に日本が生き残るには、新技術の「発明」をめざすしかない、と割り切っていた点です。少なくともこの『日の出島』の段階では。『朝日桜』は気の迷いだったとしか思えません。
 私としては、このリアリストが軍備廃絶論を認める決定的な瞬間を早く見届けたいと心待ちにしております。『日の出島』内ではまだ無理かもしれませんが。