「金十匹」の挿話より少し前、お金夫人が奉公先を探す時点の章です。
口入れ屋によると、近頃(明治30年代)には華族の質も低下したそうで。
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(略。主な得意先は)
一番多いのが男爵でそれから子爵までは沢山来るがモー伯爵となると中々慶庵(注 紹介業者)なんぞへ掛つては来ない、その代わり子爵や男爵は直なものさ、二三年前までは奥様が台所へ出て御飯拵へまで仕たと云ふ連中が近頃メキ(踊り字)華族さんになつたのだから威張る事計り知つて居て、行儀どころか口の利き様も知りは仕ない、
(近代デジタルライブラリー 「富士の巻」92/168)
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