核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

村井弦斎『日の出島』「富士の巻」その3 「金十匹」

 今日はCiNiiがお休みなので、また日の出島に戻ってみます。
 ふつつかぶりが目に余り、ついに華族の家に奉公して礼儀作法を学ぶことになったお金(きん)夫人。さっそく「お上」からご祝儀の「金十匹」を賜ります。
 
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 お金夫人有難さうに披き見て「オヤ(踊り字)十匹つて云ふのは二銭五厘ネ、アハゝ」と笑い出す、老女勿体らしく、当お屋敷に於ては何銭何厘なぞと爾(そ)んな言葉は使いませぬ、十匹とは二百五十文の事で」お金夫人「じや六匹が百五十文で三匹が七十五文ネ、此節は玉子一つだつて七匹半位するワ」と見るもの聞くもの皆な耳新し、
 1(近代デジタルライブラリー 「富士の巻」 104/168)
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 さすが伯爵家。ややこしい貨幣単位もあったものです。
 10匹=250文=2銭5厘(=0.025円)。
 たまご一つ=7匹半=187.5文=1銭8.75厘(?)。
 0.75厘なんて貨幣はないはずですが、七匹半とはどこから出た数字なのでしょう。明治中期のたまごの値段も調べてみます。
 なお、『食道楽』を見たところ、たまご「一つが三銭と見て」とありました(岩波文庫『食道楽』下巻「「第二百三十九 二十銭弁当」169ページ)。1.6倍に値上がりしたようです。