核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

村井弦斎『日の出島』「高砂の巻」その2 薫少年の小説「朝日丸」

 下宿に押しかけてきた不良書生たちに、書きかけの小説を見つかってしまった馨少年。雲岳女史に大声で朗読されるはめになります。

 南北朝時代。捕虜になった南朝の武将、本間資氏(ほんますけうじ)は、息子の朝日丸もろとも北朝の赤崎基重(あかさきもとしげ)に捕えられます。
 資氏を兄の仇と狙う基重は、朝日丸の頭上に桃を載せ、これを射抜いたら父子の命を助けると言います。父の非道に憤った基重の娘白瀧姫は止めようとしますが、資氏は挑戦を受け、見事に朝日丸の頭上の桃を射抜きます。
 父子は白瀧姫の助けを借りて脱出し、南朝復興の誓いを新たにするのでした・・・。

 どう見てもウィリアムテルの盗作です。作中作とはいえ、「日の出山」と比べてもはるかに劣ります。「北朝は偽の天子」、南朝こそ正統と資氏に力説させているあたりがポイントでしょうか。南北正閏論争はだいぶ後ですけど。