トゥキュディデス(今回は長音なし表記。統一性がなくてすみません)とは違った視点の、プルタルコスによる紀元前429年疫病の記事を紹介します。
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疫病の災難が降りかかり、年齢の点でも体力の点でも血気盛りの人々をなめ尽くした。人々はそのために身も心も冒されて、ペリクレスに対して全く粗暴な態度をとり、病気のため正気を失くした者が医者や父親に向ってするのと同じように、ペリクレスに害を加えようとさえ試みた。
(308~309ページ)
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この件に関しては、民衆側の言い分が正しいように思われます。ペリクレスが籠城戦継続のために、「田舎の衆を大勢中心市に集め」「暑い季節だというのに、多数の人間が一緒にごたごたと小さな家屋や息の詰まりそうなバラックに押し込められ」た結果、「お互いに病気をうつし合う」ことになった、という批判は説得力があります。