核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

『プルタルコス英雄伝(上)』「ペリクレス」―パルテノン神殿の材料と技術者編

 内外の反対を押し切る形で着工されたアテナイの神殿。その材料と、関わった技術者について、プルタルコスは詳細に書き残しています。パルテノン神殿を建てたのはペリクレス一人ではないにしても、大工さんだけの仕事でもないのです。
 
   ※
 この際の材料は石、青銅、象牙、黄金、黒檀、糸杉。これらの材料の加工・仕上げを営む技術〔屋〕は、大工、彫塑師、銅細工師、石工、金箔師、象牙細工師、画工、刺繍師、銅板彫刻師。〔これらの材料を〕輸送供給する人々は、海上では渡航商人、船員、水先案内人。陸上では、車作り、馬〔または牛〕方、駁者、綱作り、麻網織り、靴屋、道路夫、鉱夫である。おのおのの技術分野には、将軍が自分の部隊を率いるように、非熟練の日雇労働者の一隊が割り当てられ、これが手足のようになって下働きに励んだ。かくして〔労働〕の需要が、いわばあらゆる年齢層や適正をもった人々に豊かな収入を配分し、まき散らしたのである。(277ページ)
   ※
 
 プラトンの対話篇もそうだけど、こうやって技術の名前がずらっと並んでいるのを見ると、私はなぜかしあわせな気分になるのです。