核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

『釣道楽』雑感。

 やっぱり『釣道楽』好きだなあ。うちには上巻の復刻版しかないのですが、読み返してみてその感を深くしました。
 「恋愛なんてものは動物性の劣情」というのが弦斎の口癖でして、この『釣道楽』にもそういうセリフは出て来るのですが、にもかかわらずちゃんと青春ラブコメしてます。シスコンとブラコンと百合コンの、淡く清楚な三角関係。
 当時の新聞連載時の読者投稿では、麟次郎くんが浪子嬢と清江嬢をひとりじめにしてずるい、というのを見た記憶があるのですが(コピーしなかったので大意)、2018年の読者の眼からはむしろ、清江嬢が浪子嬢を独占してる感があります。脇役のお軽ちゃんと兄やの江戸っ子夫婦もいい味出してます。
 というわけで、セクシュアリティとかクィアネスとかを論じたければ、『女道楽』よりもむしろ『釣道楽』がおすすめです。私はもう『釣道楽』を論じてしまったので、万一当ブログをお読みの研究者の方はぜひご挑戦を。岩波文庫で復刻しなかったのが惜しまれます。
 さわやかな『釣道楽』の後は、さわやかでない『女道楽』を読むことにします。この週末には。