核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

キセル構造。

 平和主義という観点から、小説家としての村井弦斎の作品群を眺め渡した場合。
 明確に戦争を否定しているのは、第一作『加利保留尼亜』の冒頭と、最終作『小松島』の末尾に過ぎないという、なんか情けない結果になってしまいます。
 もちろん、それ以外の厖大な弦斎作品が無価値だという気はありません。「発明」と「小説」をキーワードに、日本文明の進むべき道を指し示すその方向性とエネルギーは、他に類を見ないものです。
 今気になっている弦斎作品は、『女道楽』と『酒道楽』の二作品です。特に後者、禁酒を果たした今こそ論文が書けそうな気がするのですが……。