あくまでも、「私はムフをこう読んだ」というレベルの話ですが。
「話し合えばみんなわかりあえる」というハーバーマス的な民主主義観は、ムフにとっては楽観的にすぎるわけです。話し合ってもわかりあえない、「われわれ」に還元されない異質な他者というのは実在するのです。
かといって、そうした異質な他者を「敵」とみなして、「問答無用」と殲滅しようとするシュミット的な思想は、反民主主義、ひいてはファシズムにつながりかねないわけです(シュミットは実際つながりました)。異質な他者が実在することを認めつつ、彼らを殲滅するのではなく、共に「闘技」する「対抗者」とみなすこと、それがムフの「闘技的民主主義」です。
偉そうに書いてしまいましたが、私はハーバーマスもシュミットも原典に当たったわけではないので、ムフに寄っかった解釈になっているかも知れません。今度三者をまとめて読んできます。