核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

「碁仇(ごがたき)は憎さも憎しなつかしさ」

 藤沢秀行囲碁入門」(土屋書店 一九八四)の一行目に出てくる、味わい深い川柳です。

 文脈を拡大すると、シャンタル・ムフの「闘技」の思想、「敵」を「対抗者」に変えていくという思想にも通じるものがありそうです。

 カール・シュミットのような、世界を同盟すべき「友」と、殲滅すべき「敵」に二分してしまうような思想は、一見リアルで冷徹なように見えて、実は非現実的な観念にすぎないと思うのです。実際、シュミットが支持したナチス・ドイツはあっけなく滅亡しました。

 で、「敵」を「友」にするとまではいかなくても、ほどよく非暴力的な「闘技」によって、殲滅的な敵対関係ではない関係を築こうとするアプローチ、表題の川柳のような方向性を、平和主義者は考えていくべきだと思います。