核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

『近代文学評論大系 第2巻 明治期Ⅱ』(稲垣達郎・佐藤勝編 角川書店 1972(昭和47)年)

 いずれ自分なりに明治の批評史をまとめてみたい。そんな野望を抱く私の愛読書です。
 この巻は1895(明治28)年から1905(明治38)年までの文学評論を収録。
 まずは日露戦争下の「平和主義」がらみを。
 
   ※
 小説「火の柱」は木下尚江氏の著なり。著者の名は社会主義の論客として早く世人の知る所、而かも此の人によつて、此の種の著作に接せんとは、吾人の殆ど予期せざる所なりき。(略)
 本篇の主人公(略)は社会主義者なり、而して彼れの解する所によれば、社会主義とは一言すれば神の御心なり、基督が道破せる神の御心なり、曰く平和主義なり、悪に抗せざることなり。本篇の主人公は、是れを以て絶対的に戦争を非とし(以下略)
 中島孤島 「甲辰文学(火の柱)」 『読売新聞』 1904(明治37)年5月29日 傍点は傍線に改めた
   ※
 
 戦時下であることを考えれば好意的な評価です。ただ、平和主義=無抵抗主義という決めつけは一面的ですけど。2012年の現代でも誤解している方は多いのです。
 悪に力で立ち向かうのではなく、悪を無力化する方針。それが絶対平和主義だと私は考えております。