核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

カフカ 「父の気がかり」(1915 池内紀訳『カフカ短編集』 岩波文庫 1987)

 ぱっと見は「星型の糸巻き」。真ん中から脚のようなものが生えてて、転がるように移動します。
 謎の物体、といいたいところですが、会話も可能です。
 「なんて名前かね」
 「オドラデク」
 「どこに住んでるの」
 「わからない」
 ・・・こっちもわかりません。そもそも生物なのかこいつは。
 
   ※
 あやつは、はたして、死ぬことができるのだろうか?死ぬものはみな、生きているあいだに目的をもち、だからこそあくせくして、いのちをすりへらす。オドラデクはそうではない。(105ページ)
   ※
 
 文庫本で3ページの短編。特にオチがあるわけでもなく、オドラデクは孫子の代まで生き続けます。
 吉田戦車の暗黒星人、うすた京介のめそ、増田こうすけのフィッシュ竹中さんらの偉大なる先駆者ともいうべき、カフカが生んだきもかわキャラ、オドラデク。どっかの地方自治体のマスコットにでもやとってくれないものでしょうか。