核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

遅塚麗水「電話機」

遅塚麗水「電話機」研究にまた新たな展開?

大道晴香氏という方が、以下のような研究をなさっておられるようです。 ※ 「電話」と「死者」, 大道晴香, 國學院雑誌, 122, 6, 2021年06月15日, 國學院大學 電話、その宗教的なるもの : 近代メディア機器をめぐる宗教的リアリティーについて (第71回学術大会…

夏目漱石『彼岸過迄』の電話使用法

この作品は学生時代に読んでいたはずなのですが、昨日ある論文を読んではじめて気づきました。 主要人物の一人須永が、従妹の千代子に「いっしょに」電話をかけてくれと頼まれる場面。青空文庫より。 ※ 僕にはいっしょにかけるという意味が呑み込めなかった…

黒田翔大「文学における電話前史:遅塚麗水『電話機』に描かれた電話」

12月16日は電話の日、ということで、黒田翔大氏の論文「文学における電話前史:遅塚麗水『電話機』に描かれた電話」(『阪神近代文学研究 』(17), 1-14, 2016-05)を紹介します。 1890年の12月16日に日本の電話事業は開始したわけですが、それに…

遅塚麗水『電話機』研究史に新たな展開

私も以前に扱いました、明治の知られざる未来小説『電話機』を新たに研究なさっている方がいるようです。 この機会に、同作品への注目が集まってほしいものです。いずれは岩波文庫とか…。 以下、阪神近代文学会サイト(http://d.hatena.ne.jp/hanshinkindai/…

TREERATSAKULCHAI THANABHORN「明治期の山田長政のテクストにおける「シャム」 : 遅塚麗水『少年読本第七編山田長政』を中心に」(予告)

『近代文学論集』(37),1-15,2011。 久しぶりに「遅塚麗水」で論文検索したら出てきました。ついに海外の日本文学研究者の方にも、麗水の名が広まったようです。 とはいえ、麗水は別に絶対平和主義者ではないので(日清戦争以降は特に)、「山田長政」もさぞ…

遅塚麗水「文士の戦争観」(『文芸倶楽部』1904(明治37)年10月1日)

この日露戦争下に非戦論など説いている場合ではない、文士といえども国民の敵愾心(てきがいしん)を煽る文を書かねばならぬ、といった内容でした(コピーはとれなかったので大意)。 村井弦斎の戦争論には、まだ玄米食で脚気患者を減らそうとか、軍人の家族…

遅塚麗水  「記者生活三十七年の回顧」

『苦楽』1926(大正15)3~5月。『明治文学全集26 根岸派文学集』筑摩書房 1981(昭和56)より引用。 村井弦斎・村上浪六・原抱一庵とともに報知の四天王と呼ばれた新聞小説家の回顧録です。 幸田露伴(成行)と幼少時に爆竹であそんだ竹馬…

遅塚麗水 「支那人」 『政界往来』 1937(昭和12)年12月号

福地桜痴や村井弦斎は晩年になって平和主義に転じたのですが(『女浪人』『小松嶋』)、遅塚麗水についてはそうしたことはなかったようです。この随筆「支那人」を読む限りでは。 三皇五帝時代の中国を「共和主義」と位置づける冒頭部分はちょっと面白かった…

遅塚麗水 「初鮭」 (1903(明治36)年)

村井弦斎から「(小説)全篇は感心せんが一回や二回は白玉玲瓏たるものが出来る」と評された作家、遅塚麗水。そのメガネっこ小説「初鮭」を紹介します。以前引用した森崎光子氏の論文「眼鏡をかける女・かけない女」にもあるように、明治文学でメガネっこが…

遅塚麗水のことなど

CiNii(学術論文サイト)で検索しても、私のも含めて5本しか論文のないマイナー作家、遅塚麗水。 その筋では、かろうじて紀行文(旅行記)の作家としてのみ名前が残っているようです。 正直なところ、紀行文なんてのは2012年の読者が読んでもたいしてお…

遅塚麗水 「初鮭」(予告)

以前にも紹介しました森崎光子氏の論文「眼鏡をかける女・かけない女」、このたび全文入手しました。 近代日本文学では一貫して、眼鏡をかけた女性が否定的に描かれる、という論旨ですが、唯一の例外が遅塚麗水の「初鮭」(『女学世界』1903(明治36)…

遅塚麗水 「電話機」

189X年(明治23+X年)。電話機が民間レベルで普及した時代の日本。 ある未亡人のもとに、死んだばかりの婚約者からの電話がかかってきます。 それを皮切りに、間違い電話、いたずら電話、密告電話、無言電話、脅迫電話、警視庁上層部による組織ぐる…