核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

遅塚麗水 「初鮭」(予告)

 以前にも紹介しました森崎光子氏の論文「眼鏡をかける女・かけない女」、このたび全文入手しました。
 近代日本文学では一貫して、眼鏡をかけた女性が否定的に描かれる、という論旨ですが、唯一の例外が遅塚麗水の「初鮭」(『女学世界』1903(明治36)年2月5日)。 
 眼鏡っこメイド(海外留学生づきなので、女中ではなくメイドです)がアメリカで苦労の末に学士となり、帰国後若くして校長に就任するというサクセスストーリーだそうです。
 遅塚麗水という作家は今日ま~ったく知られていませんが(かろうじて紀行文ぐらい)、村井弦斎らと並ぶ「報知の四天王」の一人であり(一番の小物?そんなことはありません)、女性を主人公にした近未来SF「電話機」や、これも女性が主人公の日本初保険金ミステリー「保険娘」なんて意欲作も書いています。
 「見られる側」ではなく、「見る側」の女性主体を描けるという点では、弦斎や木下尚江に劣らない作家です。さすが私が博士論文の題材にエントリーした男。この「初鮭」も次の図書館めぐりで読んできますので、ご期待ください。