核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

アリストパネス『平和』再読

 今回、これはと思った一行。
 平和の女神エイレーネーを救うために、みんなで綱を引く場面で。
 主戦派たちがさぼったり邪魔をしたりする中、

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 トリュガイオス (ヘルメースに)でも、立派な方よ、ラコーニア人たちは雄々しく引いている。
 (『ギリシア喜劇全集2』(岩波書店 二〇〇八)『平和』 一四一ページ)
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 ラコーニア人とは敵国スパルタ人で、注によればアテーナイに抑留されていた捕虜をさすそうです。
 彼の他の反戦劇『アカルナイの人々』や『女の平和』もそうなのですが、敵国や中立国の反戦派と連絡をとり、ネットワークを形成することで、主戦派を逆包囲する……といった平和術を、アリストパネスは構想していたようです。
 敵国の中にもいる平和主義者に、いかにして共通の、平和に至る綱を持ってもらうか、それが問題です。