核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

エラスムス 『学習計画』(二宮敬『人類の知的遺産 23 エラスムス』講談社 1984 より)

 今さらルネサンス期のユマニストでもないだろ、と思われるかも知れません。実は私もそうだったのですが、松元雅和氏の『平和主義とは何か』で、エラスムスの『戦争は体験しない者にこそ快し』(1508)を知り、二宮敬氏による日本語訳を読んでみる気になったわけです。
 『学習計画』(1514)はデカルトより100年ほど前の時代、ロッテルダムエラスムスが後任の家庭教師ピエール君に送った教育論です。
 ギリシア語・ラテン語の古典では、「措辞が完璧そのものであるほかに、内容に人を惹きつける魅力のある著作家を選んで学ぶべきでしょう」(202ページ)と前置きして。
 
   ※
 また詩人をお望みなら、第一にアリストファネス、第二にホメロス、第三にエウリピデスがよいでしょう。あるいはメナンドロスを第一にお勧めしようかとも思ったのですが、いかんせん断片でしか伝わらぬのが惜しまれるところです。
 (203ページ)
   ※
 
 当ブログでは「アリストパネス」と表記しているあの反戦喜劇作家と同一人物であることは、『パラクレシス、キリスト教哲学の勧め』に『アカルナイの人々』についての言及があることから確実です(同書256ページおよび274ページの注より)。
 ホメロスの偉大さを認めた上で、その上にアリストパネスを置く。ただの古典崇拝者ではなく、真の平和主義者でなければできることではありません。
 ルネッサ~ンスと叫んでワイングラスを鳴らしたい気分です。『戦争は体験しない者にこそ快し』も熟読してみます。