あまりにも有名な話であり、
魯迅の小説で御存じの方も多いでしょうから、あらすじだけ紹介します。
古代中国。
侵略戦争をたくらむ敵国に単身乗り込んだ
墨子が、帯と木片を城と兵器に見立て、敵国の要人を相手にシミュレーションを演じて打ち負かし、侵略を思いとどまらせたという故事です。
墨子という思想家は
侵略戦争を否定する一方、
自衛戦争については冷徹なまでに緻密な戦術書を残しており(だからこそ、前述のような挿話が成立したわけです)、絶対平和主義者というわけではありません。ただ、「巧妙な平和主義」の一例として、記憶する価値はあると思います。
コマとサイコロを使った「図上演習」は
日本海軍も取り入れていましたが、
ミッドウェイ海戦前のそれでは何回やっても甚大な被害が出るため、サイコロの目をごまかして作戦を立て、結果的に惨敗したという話をどこかで読んだことがあります。サマはいけません。シミュレーションは公正でなくては。