明治大正の日本人は、あのアルキビアデスをどう見ていたか。何件か見つかりました。
山路愛山『東西六千年』(春陽堂 一九一六)より。
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(前半略 出自と長所短所を述べた後に)
彼の不謹慎なるや或る事を為さんとする時に法律を問はずして之を為し、己が目的を達せん為には詐を言ふを辞せざりき。
(一五〇ページ)
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……一言で言ってくれました。「不謹慎」。
プルタルコス英雄伝にもいくつもの面白エピソードが載っていますが、要するに「不謹慎」なんですね。
明治大正の日本が求めた人物像とは違い過ぎるわけで、言及が少ないのも仕方がないかも知れません。
が、こういう不謹慎な人間に人気が集まり、無謀な戦争を引き起こしてしまう現象は、もっと研究しておくべきだったかも知れません。昭和に入る前に。