古代ギリシャの思想家・詩人・軍人・政治家であり、晩年は独裁者として悲惨な最期をとげた、カライスクロスの子クリティアス(紀元前450頃~404403)なる人物についての研究を紹介します。以下、バルバロイ様(http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/sophists/critias1.html)のページから引用します。
クリティアスの*思想史上*の重要性はその断片二十五にある。曰く、(略)
ここに説かれている宗教理論は次のような特色をもっている。
(イ)神は本来存在しない(無神論[1])。
(ロ)神は人間が捏造した。
(ハ)神を捏造した目的は社会秩序の推持である。
(ニ)従って宗教の本質は「有益な虚偽」である。
ここに説かれている宗教理論は次のような特色をもっている。
(イ)神は本来存在しない(無神論[1])。
(ロ)神は人間が捏造した。
(ハ)神を捏造した目的は社会秩序の推持である。
(ニ)従って宗教の本質は「有益な虚偽」である。
・・・人類史上最初の、自覚的な無神論者といってよろしいかと思います(自覚的でない無神論者なら、それこそ人類創世の時代からいるでしょうけど)。ギリシャ神話が不道徳だとかいう批判はもっと前からありましたが、神々すべてを人間の作った嘘だと言い切った人はめったにいません。
人物像も興味深いものがありまして、名門出の復古主義者で民主制嫌い、体育好きで模範的な名文章家と、どっかの切腹小説家を連想させるものがあります。長尾(1967)は「彼」を意識してはいないでしょうが、クリティアスに「イデオロギーへの侮蔑、ある種の合理主義的潔癖さ」を見ています。まあ、私利私欲のない潔癖な全体主義者の方がたちが悪いという気もしますけど。
ちなみにソクラテスの同時代人(「ブタの性がある」とか言われてますw。クセノフォーンの『ソークラテースの思い出』岩波文庫より)で、プラトンの叔父母の叔父にあたります。『国家』(ポリテイア)後半の露骨な反民主制論は、やっぱりクリティアスの影響なんでしょうか。なお、アトランティス伝説で有名な「ティマイオス」「クリティアス」出演のクリティアスは三世で、このクリティアス(四世)の同名の祖父(らしい)です。
ブタと無神論は何か因果関係があるんでしょうか。
ちなみに私は「宗教の本質は『有害な虚偽』である」派です。