核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

無神論者ヒュームの死

 ロックの『寛容についての書簡』は、キリスト教内のみならず他宗教への寛容を訴えた貴重な論ですが、それでも「神の存在を否定する人々は、決して寛容に扱われるべきではありません」と断言しています(『世界の名著32 ロック ヒューム』中央公論新社 1980 原著1689 391ページ)。
 名誉革命後といえども英国は無神論者には肩身のせまい国で、18世紀の無神論哲学者ヒュームも、二回ほど大学教授就任のチャンスを棒に振っています。
 そんなヒュームの晩年。
 
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 彼が世を去った後の話であるが、無神論者の彼が死に際して、恐れ、悶え、苦しむであろうと、頑迷な聖職者の仲間は期待したのに、穏やかに死んでいったので、彼の死をめぐる小冊子がいくつも出たし、彼の人間性を称える追悼文を書いたアダム・スミスは激しく攻撃された。
 (上掲書37ページ 大槻春彦「イギリス古典経験論と近代思想」より)
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 ドーキンスも書いていましたが、無神論者であっても死の恐怖を克服し、穏やかに逝くことは十分に可能だと思うのです。私もせいぜい、信仰厚い方々をがっかりさせるべく努力するつもりです。