王権神授説への批判
ロックという思想家の最大の功績は、君主に対する抵抗権を認めたことでした。 王権神授説の論者バークレィ(1546~1608)の、「抵抗は畏敬の念をもちつつなされなければならない」「抵抗は復讐や処罰を伴ってはならない」という説に対して、ロックは…
ロックの『寛容についての書簡』は、キリスト教内のみならず他宗教への寛容を訴えた貴重な論ですが、それでも「神の存在を否定する人々は、決して寛容に扱われるべきではありません」と断言しています(『世界の名著32 ロック ヒューム』中央公論新社 19…
17世紀イギリスの宗教事情は実に複雑でして、国教会・カトリック・ピューリタンその他の宗派がなぜかくもお互いに争ったのか、日本人には理解しがたいものがあります。 そんな時代に一石を投じたのがロックの『寛容についての書簡』。 反乱者や犯罪者は、…
今回は資料紹介ではなく、ただの愚痴です。 自由だ平等だと立派なかけ声で始まった革命が、結局は大量粛清と独裁者出現で終わった例はいくらもあります。 この1689年の名誉革命は逆に、議会と外国勢力の密約でのクーデターという、あまり立派でない始ま…
一冊まるごと名誉革命の本はなかったので、通史から入ることにしました。 岩井淳著「第五章 革命の時代」より。 きっかけは、国王ジェイムズ二世が1688年に出した信仰自由宣言でした。名前だけだと進歩的に思えますが、その目的はカトリック化と絶対王政…
デカルトの時は長くかかりすぎたので、今回はもうちょっと手短にして、きりのいいところで終わらせます。 そろそろ、日本文学関係も書きたくなってきましたので。
『世界の名著32 ロック ヒューム』(中央公論新社 1980)に収録された、ヒュームの1748年刊行の論文です。 ヒューム(1711~1776)は名誉革命(1689年)を体験してはいない世代ですが、名誉革命や社会契約論の過大評価に疑問を持ち、…
『世界の名著 32 ロック ヒューム』(中央公論新社 1980)収録の『統治論』より。 『統治論二篇』または『市民政府二論』(原題は"Two Treatises of Government"。1688刊行)の後半部分にあたります。 フィルマーの王権神授説を批判しているのは前…
ホッブズの言う平和とは国家「内」の平和に限られており、国家「間」の平和ではない。それが問題点です。 「自然状態は万人の万人に対する戦いであり、コモン‐ウェルス(国家)とはその状態を脱するために設立された」というのが『リヴァイアサン』の主題で…
私の数少ない蔵書の一冊です。名誉革命やホッブズに興味が出てきたので、この機会に読み返すことにしました。 まず、代表作である『統治論』(『市民政府二論』)と、名誉革命との関わりについて。 ※ 第二論文は、名誉革命の準備が進行していた八十七年か八…
前に書いた通り、私は王権神授説も社会契約説も信じていません。日本国も大日本帝国も江戸幕府も、軍事力を背景に、ホッブズの言う「獲得によるコモン‐ウェルス」として生まれています。世界の歴史を見ても、自然状態にある人間どうしの社会契約「だけ」によ…
2013年2月24日の記事で、私は以下のように書いてしまいました。 ※ ホッブズといえば王権神授説、というのは高校世界史レベルの常識でして。神授説というからには神を信じているはずなんですけど、デカルトへの反論を読んでると、本当にそうなのか不安…