核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

河北稔編『新版 世界各国史 11 イギリス史』(山川出版社 1998)より「王政復古から名誉革命へ」

 一冊まるごと名誉革命の本はなかったので、通史から入ることにしました。
 岩井淳著「第五章 革命の時代」より。
 きっかけは、国王ジェイムズ二世が1688年に出した信仰自由宣言でした。名前だけだと進歩的に思えますが、その目的はカトリック化と絶対王政への復帰であり、プロテスタント勢力結集のきっかけとなったわけです。
 
   ※
 ここにいたって、ホイッグとトーリ(引用者注 議会内の王権制限派と服従派)の指導者は提携し、両派の貴族ら七名が、オランダ総督のオレンジ公ウィリアム(オラニエ公ウィレム)に向けて武力による解放の招請状を送った。(略)
 他方、ウィリアムを迎え討つはずのジェイムズ二世は、軍隊のほとんどが戦う意志をもたないことを知り、深く絶望した。彼は、同年十二月にフランスへ亡命した。こうして大きな武力衝突もないままイギリス議会とプロテスタンティズムを護る「革命」が達成されたので、この事件は「名誉革命」と呼ばれるようになった。
 (211ページ)
   ※
 
 ヒュームは「国王が変わっただけ」と言ってましたけど、この名誉革命体制を規定した「権利章典」(1689年)は、イギリスのその後の立憲君主制を確立したものとして評価されています。
 ただ、最初から非暴力革命をめざしていたわけではなく、国王が逃亡したために「大した武力衝突もないまま」成功した、という点は覚えておきます。類書も何冊か読んだのですが、これ以上に具体的なことは書いてありませんでした。
 そもそもロックにしてからが、民主主義者ではあっても、非暴力主義者ではないのですから。過去に過剰な期待を抱いてはいけないようです。