核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

シュティルナー、スティルネル、スチルネル

 Max Stirner。日本語表記はシュティルナーだったりスティルネルだったりスチルネルだったり。

 鴎外の「妄想」にはこうあります。

 

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 ハルトマン自身が錯迷の三期を書いたのは、MaxマツクスStirnerスチルネル を読んで考へた上の事であると自白してゐるのを見て、スチルネルを読んだ。それから無意識哲学全体の淵源えんげんだといふので、さかのぼつて Schopenhauerシヨオペンハウエル を読んだ。
 スチルネルを読んで見ると、ハルトマンが紳士の態度で言つてゐる事を、無頼漢ぶらいかんの態度で言つてゐるやうに感ずる。そしてあらゆる錯迷さくめいを破つた跡に自我を残してゐる。世界にたのむに足るものは自我の外には無い。それを先きから先きへと考へると、無政府主義に帰着しなくてはまない。
 自分はぞつとした。

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 ……日本ではあまり人気になった形跡がないこの人物ですが、ちょっと気になりました。近代デジタルコレクションで『唯一者とその所有』が読めるようです。