核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

梅内幸信「古典落語『死神』に関するモチーフ分析と呪文について : 『死神の名付け親』(KHM44)との比較において」

 鹿児島大学(地域政策科学研究 (10), 81-99, 2013-03)掲載。
 グリム童話「死神の名付け親」が、日本に伝わって古典落語「死神」となった経緯。

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 テーゼ3:古典落語『死神』は, 三遊亭圓朝が(仮説:福地桜痴から『グリム童話集(第2版)』における『死神の名付け親』[KHM44] を聞いて), 明治20年代に日本的に換骨奪胎して作り, 弟子である「鼻の圓遊」に教えた。しかし, 明治30年代にこの圓遊が『全快』として直したので, その後圓朝は一緒の楽屋で二代目三遊亭金馬に本来の『死神』を教えた。
 (鹿児島大学リポジトリの同論文要約より引用)
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 妙なところで福地桜痴がからんでいるものです。
 私はこの落語を聞いたことはないのですが(そもそも、高座で生の落語を聞いた経験がありません)、藤子不二雄の怪奇まんが『魔太郎がくる!!』で知りました。あれ怖かった。最後の「フッ」で暗転するとことか。

 追記 西本晃二氏の博士論文『落語『死神』考 : 噺の民話学的考察ならびに幕末から大正初期にかけての異文化接触』(2003)もこの問題にふれていらっしゃいました。福地らの渡欧使節団はグリム兄弟の兄の方ヤーコブを訪問し、次の訪問時はこの題材のオペラ『クリスピーノと代母(コマーレ)』の上演と重なるとのこと。