名作とされる小説の権威に挑む対談集。
内容に入る前に、些末な点を。三島由紀夫の生い立ちに言及して、「父親は大蔵官僚でしょ?」(33ページ)という発言がありましたが、三島の父平岡梓は大蔵省ではなく農商務省官僚のはずです。
なんでそんなことを覚えているかというと、猪瀬直樹の『ペルソナ』という三島由紀夫伝がそこにこだわっていまして。平岡梓は大蔵官僚ではない自分に劣等感を抱き、何としても息子を大蔵官僚にしようとして、それが三島の人間形成に無理を生じさせたと。
なんでも官僚コンプレックスに結び付ける『ペルソナ』もどうかと思いますが。今は『ペルソナ』も平岡の『倅 三島由紀夫』も手元にないので、後日図書館で再確認してきます。