核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

カフカ「掟の門」

 ある男が掟の門にやってきます。強そうな門番がいて通してくれません。

 奥にいくほどさらに強い門番が守っていて、最初の門番でさえ三番目のを見ただけですくみあがってしまうほど、という少年ジャンプにありがちなインフレ構造。男には、最初の門番さえどうにもできません。

 持ってきた金品を渡したり、泣き落としてみたりするのですがどうにもならず、男はだんだん年老いていきます。ついに死の間際、男が発した最後の問いとは・・・・・・。

 

 岩波文庫カフカ短編集』で3ページほどの、けっこう有名な短編ですが、結末は一応伏せておきます。長編『審判』の中にも出てくるようです。青空文庫では、「道理の前で」という題で全文が訳されています。

 ベンヤミンデリダといった有名評論家がさまざまな解釈をしていますが、元の作品よりはるかに難解で、腑に落ちませんでした。

 ただ、たしか浪人時代にこの話を読んで以来、難関に突き当たるたびに思い出したものです。もしかしたら、私の人生にプラスになっている読書体験かもしれません。

 

 2022・5・6追記 『カフカ寓話集』ではなく『カフカ短編集』収録でした。訂正してお詫びします。

たしか森鴎外の『灰燼』に

 「変生男子」と呼ばれる、今でいうトランスジェンダーの登場人物が出てきた記憶があります。

 未完の長編である上、読んだのははるか昔なので、今度はうろおぼえでの紹介もできません。CiNiiで検索してみたのですが、ジェンダーの視点から『灰燼』を扱った論文はないようです。連休中で図書館にも行けないし。

 

 2023・7・17追記 『灰燼』も、その研究論文もネットで読めました。

 

 森鴎外『灰燼』におけるジェンダーの問題 - 核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ (hatenablog.com)

カフカ「仲間どうし」(1920 草稿)

 家の中から五人出てくるんですよ。他人はそれを指して、あれは五人仲間だと呼び、当人たちもそんなものかなと思った頃に、呼ばれもしない六人目がやってきます。別に五人が固い友情で結ばれてるとかそんなことはまったくないのですが、六人目が加わるのがうっとおしくてしかたがない。なのに、六人目は何度追い払ってもやってくる・・・・・・。

 

 新潮社『カフカ全集 決定版』2巻収録の草稿断片だそうですが、手元にないためうろおぼえで書きました。いずれ図書館で確認します。

 五人仲間は六人目を排除することによってのみ五人仲間でいられる。シャンタル・ムフの本によく出てくる「構成的外部」とはこの六人目のようなものかと思ったり。共同体と差別の起源についてあれこれ考えさせてくれる小品です。

反戦小説!?長野晴浜「敗将」

 国会図書館サーチで、前から探していた、反戦小説だという前情報のある長野晴浜の「敗将」の書誌情報が明らかになりました。

 

   ※

 小説 敗将 (文芸倶楽部 3(明40-大1))
 詳細情報
タイトル    小説 敗将 (文芸倶楽部 3(明40-大1))
注記    文芸倶楽部 3(明40-大1)
件名(キーワード)    (*古洞画の挿絵2点あり。116~117頁、144~145頁) 小説 敗将
要約・抄録    文芸倶楽部 第13巻第8号(明治40年6月1日) 112~155 長野晴浜

   ※

 

 古洞画、ということは近代戦ではないのかな。今話題の源頼朝だったりして。

「封三娘」論、もう1本見つかりました

    ※

 御伽草子『玉水物語』考--『聊斎志異』封三娘との比較
 安藤 みな子 愛知大学国文学 (44) 43-56, 2004-12

    ※

 

 「玉水物語」論はけっこう見つかるんだけどなあ。センター試験にも出てたし。