核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

カフカ「仲間どうし」(1920 草稿)

 家の中から五人出てくるんですよ。他人はそれを指して、あれは五人仲間だと呼び、当人たちもそんなものかなと思った頃に、呼ばれもしない六人目がやってきます。別に五人が固い友情で結ばれてるとかそんなことはまったくないのですが、六人目が加わるのがうっとおしくてしかたがない。なのに、六人目は何度追い払ってもやってくる・・・・・・。

 

 新潮社『カフカ全集 決定版』2巻収録の草稿断片だそうですが、手元にないためうろおぼえで書きました。いずれ図書館で確認します。

 五人仲間は六人目を排除することによってのみ五人仲間でいられる。シャンタル・ムフの本によく出てくる「構成的外部」とはこの六人目のようなものかと思ったり。共同体と差別の起源についてあれこれ考えさせてくれる小品です。