核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

松本清張ベスト3

 私は松本清張研究会の会員ではないし(先日はお誘いがあったので参加したわけです)、ファンなのかどうかも微妙なのですが。
 とりあえず論文だの学会発表だのは考えず、いいなと思った作品のベスト3を。
 
 1 『絢爛たる流離』
 いわば清張版指輪物語ロード・オブ・ザ・リング)。昭和初期に作られた指輪の、持ち主が変わるたびに起きる殺人事件の数々を通して、昭和史の暗部を描き出した連作短編です。ほうき用針金製造メカを題材にした第八話「切符」は、『半生の記』にある行商体験がモデルのようです。
 
 2 『神と野獣の日』
 清張唯一の近未来SF。ある国のミサイルの誤射でパニックとなった東京が舞台です。政治家がわりと良心的に描かれるなど、あまり松本清張らしくない作風ではあります。そんな政治家にも愛人はいるわけですが。
 
 3 『高校殺人事件
 これも清張唯一の青春ミステリー。読む前は米倉涼子みたいな女子高生とか、郊外に愛人を囲ってそうな男子高生が出るんじゃないかと思ってました。いい意味で裏切られました。登場する高校生たちがまじめすぎるというか、旧制高等学校みたいな雰囲気ではありますが、1950年代の若者はこんな感じだったんでしょうか。この雰囲気は好きです。