核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

福地桜痴『選挙競争 嘘八百』(1894(明治27)年)

 テレビばっか見てたわけではなく、前から気になってた福地桜痴政治小説も読んでみたのですが…これははずれでした。
 同じく帝国議会選挙を扱った前作「滑稽妄説 仙居の夢』(1890)では、現実の暴力事件や金権政治を批判しつつも、そうした腐敗に非暴力手段で戦う民間人も描いた、前向きな内容だったのですが、4年後の『嘘八百』にはそうしたポジティブさはなく、質の低いあてこすりばかりが目立つ、残念な出来でした。印象に残る人物も、ここに書き残したくなるセリフの一行も見つかりませんでした。
 桜痴にしろ弦斎にしろ、あれだけ多くの作品を書いてるのですから、たまにははずれもある、ということでしょう。