核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

村井弦斎『食道楽』第一「腹中の新年」

 今さらながら、『食道楽』(1903(明治36)年)の冒頭場面を。

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 腹の中にて新年を祝する胃吉と腸蔵
 「オイ胃吉さん、おめでとう」
 胃吉「ヤアこれは腸蔵さん、去年中は色々お世話さまでしたね。また相変わりませずか、アハハ。時に腸蔵さん、今日は正月の元旦といって一年に一度の日だからお互いに少し楽をしたいね。私たち位年中忙しくってみじめなものはないぜ」
  岩波文庫『食道楽』(上)18ページ
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 こんな調子で、24時間休みなしで消化作業をさせられる、胃と腸のぼやき漫才から始まります。
 最後は「お酒が来たらモー仕事なんぞするものか」と言うそばから酒の洪水。「津波津波だ」と胃吉も腸蔵も一目散に逃げて行く。どこへだ。